Friday, December 7, 2012

お金のこと 今の暮らしのこと 1



木乃実:前の旦那さんが亡くなったのが、7月17日。彼の誕生日が6月27日だったのね。
その時、彼は40歳のお誕生日だったの。
彼の両親が、彼がバイクを乗るので、バイクは危険だからって、23くらいの時に生命保険を掛けてたものを、
ずっとわたしが引き継いで、受取人になって… 彼の生命保険を掛けてたの。

彼が40歳になる時に、選択があった。
40になると病気になったりするリスクも高くなるから、掛け金が倍になって、
万が一の時の受け取りも多くなるというもの。
入院費や死亡時の受け取り金が多くなるか、掛け金そのままにして、受け取りはずっとと減るという選択。

その時わたしは、「一人しか働いていないし、彼は病院を行ったり来たりしていて治療費もかかるし… 
掛け金、倍かぁ。どうしようかなぁ」と思っていた。
多分、掛け金3万円が6万円に増えるとか、そんな感じだったのね。
”うわぁ 辛いなぁ”と思ったんだけど、でも、そのまま続けた方がいいって、掛け金を倍にしても
続けた方がいいって、どうして思ったのかわからないんだけど、なぜかそう思ったのよ。
自分でそう思ったのか、ここら辺で誰かがささやいたのか、わからないんだけど…
なぜか、そう思った。

わたしが保険会社に電話するんだけど、担当の人に
「それは旦那さんご本人から、聞かないといけないことになっているんです。」と言われたの。
掛け金を増やしても続けますということは、本人が言わないといけなかったのね。

それである日、保険会社から電話が来たの。
担当の人が彼に説明するのよね。
だけど、その時彼はもう、自分で何を考えているかわからないような状態だった。
「なに言ってんの?なに言ってんの?なんて言えばいいの?」ってわたしに聞くのよ。
「『はい』って言って。『はい』って言って。」って、わたしは言うの。
「なんで、ぼくは『はい』って言うの?」
「これから掛け金は多くなっても、また、入院退院を繰り返したりした時には、ちゃんと保険金が出るんだから。
これから、どんどん入院したりするかもしれないでしょう?だから『はい』って言ってよ。」
「ええ、わかんないよ、わかんないよ」って言いながらも、彼は「はい」って言うの。
『はい』って言って、電話は切れるんだけど、
その時に「あぁ、良かった、はいって言ってくれて」って思ったのね。
彼は、なんで自分が『はい』って言っているのかわからない状態で、『はい』って
言ったのね。
それから二十日後に亡くなっているの。

そんなこと(保険のこと)は、まったく忘れていたのね。
お葬式のあとに、保険屋の外交の女の人が来るのね。
「手続きです」と言って。
「保険、続けててよかったですね、奥さん。あの時やめてたら、 受け取りは今の五分の一くらいでしたよ。」って
言うのね。
「ああ そうだ」と思った。
あのとき、訳わからないままでも、『はい』って彼が言ってくれて、ほんとに良かったなって思ったの。
助けてもらったなっていうか… そんな気がした。

その時の保険のお金と、あと自分で掛けてた、養老年金や個人年金とか、
OLをしてた時に、わたしいっぱい貯金してたの。
そういう貯金が、今すごく役に立っている。
もうずっと、貯金だけで暮らしているからね。

貯金はどんどん減っていくのよ。
だけど面白いことに、貯金が最初たくさんある時には、「えー、お金が減っていく、減っていく。」って
すごい心配になるじゃない?
今までずっと、お給料入ってきて、使ってちょっと貯金して、貯金がちょっとずつ増えていくという決まった流れ。
何か、大きいなものを買う時にちょっと貯金が減るんだけど、でも、またお給料から貯金して・・・ 
わたしはコツコツ型の人だからね。
だけど、入ってくるものが全然無くて、出て行くだけっていうのはちょっと寂しくて、「どうなっちゃうの、
どうなっちゃうの?」と心配になった。
口座を見て、不安になっていたんだけどね。

ある時点を過ぎたらもう、あるものはあるんだから、あるだけ自分達が楽しんだり、
このお家に投資するのもそうだけど、これからの自分達の生活をもっと居心地よく暮らしやすくしたり、
楽しくしたりする為に、今あるんだから使えばいいじゃないってことに気がついた。

今あるのに「無くなったらどうしよう。ゼロになったらどうしよう。」と考えているのも、
エネルギーの使いどころが間違っているなっていうのがわかったの。

Thursday, December 6, 2012

お金のこと 今の暮らしのこと 2



木乃実:ポールは、全然逆だからね。「早く使っちゃおうよ!」みたいなね。(笑)
「世界の金融恐慌とか、銀行がクラッシュするとか。銀行にお金あってもどうなるかわかんないんだから、
早く使っちゃおうよ。使い切れないかもしれないじゃない。」なんて言うのよ。「えぇー」って。(笑)
「僕は、上手に使ってあげるから大丈夫だよ。」ってね。

確かに彼は、お金持ちの奥さんの運転手をしていた時に、彼女の予算の中で、世界中のいろんな素敵な場所に彼女を連れて行き、一流ホテルに泊まって一流レストランでご飯を食べて、すごくゴージャスな旅を提供してあげるようなことをしていたのね。

彼女は、すごいお金持ちなんだけど、それをだまして、横取りしようとする人たちから、
彼は、彼女を守ってあげていた。
ポールは、そういう、すごい巨大な富の中にもいたことあるのね。

その仕事を辞めて、自分は一文無しになって歩き始めて、結局、人からの好意で自分はずっと生きてきたという生活をしているんだけど、すごいお金のある世界とまったくお金のない世界をどっちも知っていて、
まったくゼロでも生きていけるっていう事も知っている。
だけど、何億円かあったら、その使い方も知っているのね。

だから、そういう意味で、彼の中にものすごい強さがあるよね。

わたしはお給料20万から30万の間で、貯金3万円。そのレベルしか知らないからね。(笑)
子供の頃に家の父親に「家は貧乏なんだからね、いろんなものは簡単には買えないんだからね。」って言われてね。
あとから、よくよく聞いてみたら、お給料が上がってるのに、お母さんにも言わないで、お父さんがお小遣いを懐に入れてたとかいう事があったりね。
「えー、お父さん、ステレオ自分で買ってるじゃないの!」そんな家庭で育ったから、チミチミしてるわけよ。(笑)

お金の使い方も、無駄にしないように、どちらかというとケチケチ使うような使い方を、
ずっとしていたと思うのね。
ポールみたいに、もう、使う時にはパーッと使って、「どっからか入ってくるよー!」っていうのは、
わたしには怖くてしょうがない。
「使っちゃって無くなっちゃって、入ってこなかったらどうするの?」
「まったく入ってこなかったら、バックパック背負って歩けばいいんだよ。」
「えぇー」(笑)
そんな感じ。

そういうお金の恐怖、お金への執着。ものすごい執着と欠乏の意識。
何かが無いという事の怖さ、何かが足りない、何かが無いという欠乏の意識とその恐怖というものが、
ほんとうに薄皮を一枚一枚剥がすように、長い年月をかけて無くなっていったんだと思う。
まったく、無くなった訳じゃないよ。
だけど、今はものすごく心のこの辺で、必要な物は必ずあるから大丈夫、って思えるようになったの。
それは、すごい進歩。
落ち着いたからね。「こんなに使っちゃって~」って思わなくなったもんね。

ここ銀行がないからね、銀行でお金を引き出す為に300キロくらい、バスで6時間行くんだけど、
そうすると宿泊をしたり、ご飯も食べたり、お金を使うじゃない?
ショッピングもするんだけど、その時に、前は、お金を節約してね、ちょっと安い宿に泊まったりして
いたんだけど、そうするとエネルギーが下がっちゃうのね。
ちょっと安いからこれでいいかと思うと、すごくうるさかったり、寒かったり。

ポールは自分をちゃんとトリートしてあげる(自分にご褒美をあげる)ってことが上手な人なのよ。
自分にケチケチして、ちゃんと自分を可愛がってあげていないっていうのが嫌なのね。
わたしは、そういう意識が全然ないのよ。
自分にいっぱいお金を使って可愛がってあげるっていう意識が無かったからね。

安い所に泊まって、お金をケチケチして、「節約ね、節約ね」って言ってると、
全然思いがけない所でドーンとお金が出て行くの。(笑)
「なーんだ、結局同じだったじゃない!」っていうようなね。
「じゃあ、あの時に食べたいねって思ったもの食べて、泊まりたいねって言ってたホテルに泊まったほうが、
よっぽど良かったんだね。」っていうことになる。

だから、町に出かけたらね、一番いいホテルに泊まって、美味しいもの食べて、ということをするようになった。
そうすると、一番いいホテルをネットで探すと、その時にキャンペーンでディスカウントだったりするの。
普段200ドルのホテルが、その時80ドルだったり。
ケチケチしなくなったら、そういう事が起こり始めたのよ。

「これだー!」ってね。
「使うときはパァーンと使って、わーっと楽しんで。心配しない。」って。
「ちゃんと必要な物は来るから。」っていう生き方。
こういうのがあるといいなっていうと、誰かが持って来てくれるとかね。
「これだぁ!」って味を占めてから、すごく楽しくてしょうがないの。

テレビの撮影に来たディレクターの人もすごく聞いていた。
「どうやって暮らしてるんですか? 失礼かもしれないけど、収入源を聞いてもいいですか?」
「貯金です。」
「えー、貯金だけですか?」
「そうです。」
「貯金、減りますよね?」
「貯金、減りますよねぇ」って言って。(笑)
「でも、減りそうになったら減りそうになった所で、なんか他に入ってくるんじゃないですかねぇ。」
「そうですかねぇ…」って。(笑)

だけど、どっちがいいかってことよね。
減りそうになったら、なんとかどこからか入って来て、大丈夫なんじゃないですか、
そう思って生きていくか、貯金が無くなったら困る、と思ってしゃかりきに働いて生きていくか。
どっちかを選ぶとしたら、わたしは「無くなったら、無くなる直前あたりでなんか入ってくるんじゃないの?」って信じて生きてる方がいいなって、最近思うようになったね。

あと、うちの母親が、私と同じ巳年なのね。
母はいつも小さい頃から「巳年の人は絶対お金に苦労しないのよ。いつもお金が入ってくるのよ。」って、
わたしにね、呪文のように言い続けてくれたのよ。
それは、結構役に立つ。(笑)
ちょっと不安になると、「でも、お母さんが言っていた。巳年は絶対お金に苦労しないって言っていたから、
絶対そうだ。」って思うの。
振り返ってみると、ホント、これもおかしな事なんだけど、「無くなったらどうしよう」っていつも怖いのに、
無くなった事無いのよ。やっぱり。
だから、きっとそうなんだろうなってね。

ポールもね「木の実、巳年だったよね。巳年はお金に困らないんだよね。」って。「そうだよ。」って言うと
「ああ よかった。」ってね。(笑)

Wednesday, December 5, 2012

お台所に合わせた暮らし



木乃実:最初はね、すごい不便だと思っていたけど、やってみれば、いろいろ工夫して出来るもんだなぁと思った。
無駄なものは、いらないのかなぁと思ってね。

例えば洗剤もね、日本にいるときは手に優しいマイルド洗剤とかいろいろ使っていたけど、
ここではたらいで洗ったら、その水を畑にジャバーって流すからね。
使うのは、地元で売ってるグリセリン100%のポパイっていう赤ちゃん用の石鹸があるの、
香料も何も入っていないような石鹸ね。
それをちょっとだけつけて、ほんとにひどい汚れのときね。
そうでないときは、お湯でサササって洗って終わり。

何でも「これは畑に行くんだ。」と思うからね。
いつも気をつけて。
食べ残しは、パンで綺麗にお皿を拭いて。お湯で流してなんにも、食べカスとかはあまりたらいに入らないように、っていうのは考えるようになった。

そうするとね、洗剤を使わないから手もカサカサにならないし、クリームも全然使った事もないしね。
いまは、一個の石鹸で何でもやる。
洗濯も、頭をここで洗うときも、お湯を沸かして、バケツ二つ持って来て、蜂蜜の容器を使って、
まるで昭和の人みたいに、頭からお湯を掛けて一人で洗うんだけどね。(笑)
それも普通の石鹸できれいに落ちるの… 前は石鹸だと髪がカサカサになるなんて思っていたけど、
まぁ、慣れるとそんなに気にならない。
石鹸で洗ったあと、ちょっと時間が経ったら、もう元のツヤツヤの髪に戻っているから、
そんなにいろんなものはいらないね。
シャンプーすると油分が全部抜けちゃうから、リンスとかしてコンディショナーを使う。
必要なもの取ちゃったから、後から化学製品で足しましょう、みたいになってるんだあって思ったの。
ポールは、石鹸も使わない。
全部お湯で終わり。
その方がカサカサにもならないし、無駄なものもいらないしね。

お料理もね、そんなに手の込んだものも出来ないから、畑にあるものを取ってきてサラダにしたり、
ちょっと炒めたりしてね。
パンは薪ストーブで焼くんだけど、薪ストーブも暖かい時はガンガン火を焚けないから、そういう時はトルティーヤを作ったり、工夫してね。

自分でパンを焼くと、このパンを食べる為にも、これくらいの薪=エネルギーが必要なんだとか、そういう事がよくわかってくる。
例えば、ご飯は炊く時に、すごくエネルギー使うよね。
うちはポールがご飯をそんなに好きじゃないから、ご飯ほとんど炊かないけど。

なるべくエネルギーを使わないもの、サラダとか、ちょっと簡単に煮えるものなんかを作る・・・ スープも前はね、野菜を大きく切って煮ていたけど、時間がかかるから、今はすごく細かく切る。
最初、細かく切ったいろんな野菜を全部お鍋にいれて、オリーブオイルとお塩をちょっと入れて
蒸し煮みたいにするの。
お水を少し入れてね。
そうすると、普通にお湯でスープ煮る時間の四分の一くらいで済むんじゃないかな。
すぐに柔らかくなる。 
その後トマトソースなんかを入れて、お湯入れて沸騰したら終わり。
すごく簡単な、でも、おいしい料理の作り方になったのよね。

昔はよく、献立を考えてお店に買いに行っていたけど、今はもうあるもので作る。
そうすると、夏から秋かな、一番野菜が採れる時は、ほとんど食費いらないもんね。

Tuesday, December 4, 2012

村の人々との繋がり



VW:これは地元の八百屋さんから…? 何でも屋さんで買ったものですよね。

木乃実:そうそう。
地元の八百屋さんで買うと、結構高いのよね。
ここから200キロくらい離れた所からフェリーとトラックに乗ってくるから、
来た時にもうこんな状態になっちゃうの。(ニンジンがしおれている)
バナナとかもね、ちょっとほら見て。(黒ずんでいる)

VW:これで普通の値段ね。

木乃実:そうそう。
これでバナナ1キロ、日本円にしたら150円くらいかな。
バナナ安いのよ。年間通してバナナ安いの。
でも、キュウリは1キロ300円くらい。いま、キュウリは高い。
あぁ、アボカドが高いね。アボカド1キロ、いま800円くらいかな。

VW:ここでアボカドも採れるのに、高いのね。

木乃実:そう、そうですよ。全部チリ産。
あ、でも、 ほとんど国産で、それはありがたいね。

オリーブオイルも国産で、えーと、国産でないものはなんだろう…
バナナだね。これはエクアドル。

VW:でも、南米産だね。

木乃実:そう、南米産。何でも、南米産。
サバの水煮、たまに買うけど、チリ産が無い時はペルー産。
ツナ缶もエクアドル産。
お魚、ここは海が近いんだけど、お魚屋さんがないんですよね。
みんなお肉を食べる文化なの。
お魚屋さんがないので、たまに缶詰の魚を食べるけど、そんなに頻繁でもないかな。

お買い物に行くのもおっくうでね。
2キロくらい歩くんだけど、30分、荷物をたくさん担いで歩いて帰ってくるのも大変なので、
なるべく買い物に行かないで、家にあるものを食べ尽くして、ほんとにもう無くなったら買い物に行く感じ。

VW:結構お店に行く人に、買ってきてもらったりしているね。

木乃実:あ、そうね。
今、村にわたし達の友達の中渓宏一君ファミリーが住んでいるから… 昨日から山の家に行ったけど、
彼らが居る時は、電話で買い物を頼んだり、ショッピングリストをスカイプで送るの。
「来るときに、持ってきて。」って頼んだりする。それは、すごく助かってる。

VW:そうね。あと運転してくれるハビエルさんね。

木乃実:ハビエルさんね。 ハビエルさんも、便利なのよね。
ガソリンを発電機のために買っているから、ガソリン買ってきてっていうと、すぐ買いに行ってくれるしね。
あと、あまりにも荷物が多かったら、ショッピングしたとき、お店で箱に入れて、
「ハビエルさんがあとで取りにくるからお願いします。置いといてね。」って置いてくると、
ハビエルさんがあとで持ってきてくれるの。
村からここに運んでもらって、一回運賃400円。
それは、助かるよね。

ちょっと遠くに行く時は、ハビエルさんが「コヤイケに行くけど、なんか買ってくるものある?」って
聞いてくれるからね。(コヤイケというのは、300キロ離れた大きな町)
オリーブオイルもラフンタで買うとすっごい高いのね。
だから、「オリーブオイルを6リットル買ってきて」とか、全粒粉はこの辺で売ってないから、この間は、まとめて20キロぐらい買って来てもらった。
そんなのも「行くついでだからいいよ」って言って、運賃取らずに運んでくれる。
「お得意さんだからいいよ」ってね。

そういう風に地元の人との繋がりが出来て、生活は楽になった。
前は、全部自分でバックパックで背負っていたからね。
最初はあまり、村の人も乗せてくれないんだけど、だんだんわかってくるんだよね。
「あ あそこの山の上に住んでいる奥さん、また担いでる。乗っけてあげようか」みたいなね。
いま、道路工事で工事中だから、ブルトーザーに乗っているおじちゃんや、トラックのおじちゃんに
よく乗っけてもらっている。
「大変だねー、重いねー」なんて言われてね。
そういうのは、ありがたい。

車を持っている人は、そんなに多くはないからね。
村の人は、みんな道端に立ってヒッチハイクしているしね。
そういう助け合いの精神は残っているよね。
ツーリストがヒッチハイクしても、安全だしね。
それは、ありがたい。

Monday, December 3, 2012

アースバッグハウスとポールの発想



木乃実:ここは最初は… どのくらいの高さだったのかな、ここと同じくらいの高さだったのかな。
(もともとの土地を斜めに削ったため、高さが違う)

VW:それを斜めに削ったの?

木乃実:最初はね、ここと同じ位の高さの所に、3メートルと6メートルのドームを作るっていう、
それが最初の予定だったの。
3メートルの穴を、二人でガーッと掘っていって、掘った土をどんどんバックに詰めていったの。
それで、300個くらい詰めて、その袋詰めしたものを、お家の壁に使ったのね。
それで半分まで。
あと半分、600か700、壁にこの袋を使ってある。
その外回りに発砲スチロール、5センチの発泡スチロールを入れて、その外側にもう一回、
ぐるっとアースバッグの壁700個を入れてあるの。
壁が二重になっている。

VW:すごい暖かいよね、このお家。

木乃実:そう。
最初にやっぱり、雨が多くて寒い所だから、暖かくて気持ちのいいお家っていうのを、ポールはよく考えていたの。
どうしたらできるかな、って。
アースバッグのお家のいい所は、やっぱり息をしてくれるから、何となく安心して気持がいいっていう
感じがするの。
土の中に入っていると、ちょっと安心するようなね。
あと音が静かよね、防音性があるから。

実は下(家の下の土地)も、ほんとうはずっと平らだったんだけども、お家の壁がこう、真っすぐあるでしょう?
そうしたらその下の土地を坂に… 全部雨水が家から流れて家と反対の方向に向かっていくように、坂を作ったの。
ほら、雨が流れてる。

VW:流れてるね。

木乃実:これは屋根に降った雨が、そのままこの中を通って流れて、池まで行っているわけ。

VW:池に入って行ってるんだね。

木乃実:うん。
その下を坂に掘った時に、家の壁から3メートル、全部周囲3メートルに発泡スチロールを入れていて、
その上にこのビニールが敷いてある。
発泡スチロールは断熱材、ビニールは防水、その上に土を入れて、それでまたでっかいアースバッグを積んで、
土手みたいにした。
土が全部流れ落ちたり、崩れてこないように、全部せき止めてあるの。
洪水の時にサンドバッグを積むでしょう? ああいう感じで。

VW:そういうのは全部、二人で勉強しながらやったの?

木乃実:うーん ポール。(笑)

VW:本読んだりして。

木乃実:うん。ポールが本を読んで、このヒントはここで使おうっていうのもあるけど、ほとんどは彼の中での、
エンジニアリングの技術だと思う。
彼が「こうしたらこう水が流れてくるから… 土が崩れて来ちゃうかもしれないから土手作って止めよう。」と
いうのは、彼によればそれは常識なんだって。
「常識だよ、そんなもん。」って言うんだけど、わたしには全然想像の出来ない世界なのよね。

だけど彼は、そういうことを、どうも寝る前とか朝起きた時とか、寝ないで考えていたりするみたい。
わたしがぐっすり寝ている間に「君はいいよねー、いつも安らかに幸せそうに寝てさ。
僕は頭の中で、そのメカニズムをいつも考えているんだよ。」と言うの。
「まぁまぁまぁ、マッサージするからさぁ。」っていう感じで。
「お願いしますね。」みたいな。(笑)
そういうサイエンスとか技術、メカニック、エンジニアリングみたいな技術、土木技術は全部彼なのよ、わたしはさっぱりわかんないからね。

VW:でも別にポールだって、それの専門家ではないわけよね。

木乃実:うん、それは違うよね。

VW:だから、すごいね。それをずっと考えて、こういうものを作っちゃうっていうのがね。

木乃実:そうね、それは確かに。
わたしは、ある意味彼は、レオナルドダヴィンチみたいなね、ただ歩いて木を植えている人だけではなく、
いろんな事が出来る、いろんな能力を持っている人だって、この家作りで始めてわかった。
ビックリした。

最初はポールもね、自分でビックリしてると思うのよ。
大工さんなんてした事無いし、家ももちろん作った事無いから、最初は自分にはそういう事は出来ないと思っていたみたいだけど、ここにくると彼しかいないから、やるしかない。
やるしかないっていう所で、彼はすごいいろんな発想が出てきて、自分でもすごくビックリしていたと思う。
で、やってみるとすごくうまくいったのが、段々、今年ぐらいから効果がわかってきてね。
やっぱり自分が考えていた事が正しかったねって、証明されてきてね。

Sunday, December 2, 2012

ポールの本を書く



木乃実:最初にポールの講演会に行った時にね。
「僕は15年間、地球を歩きながら木を植えています。今日は、なぜそんなことをしているのか、お話しします。」そう言って、鉢巻きをしたおじさんが出てきたのね。
えーっ、「木を植える男」っていう童話の絵本は読んだことがあるけど、ほんとうに歩いて木を植えている人がいるんだ、ってすごくびっくりした。
でもお話にすごく引き込まれていってね。

一銭もお金持たないで15年も。
人に助けられてご飯食べさせてもらったり、もちろん食べれない時はお腹空かせて三日も四日も歩くんだけどね。
だけど目がキラキラしていて、すごく楽しそうに話すのよね。
全然”苦しい”とか“辛い”とか”これは地球のためだから、自分を犠牲にして”というのが無いのよね。
冗談ばっかり言って。
この人ほんとうに、喜びの人生を生きているんだなって思った。

ポールってすごい、こんな人がいるんだ、と思ってブログに書いたの。
そうしたら編集者の人がそれを読んでいてね、”本にしましょうよ”と言ってくれて、ポールの本を書き始めた。
本を書いている時は、ポールには講演会の時にちょっと会ったっていう印象しかなかったのね。
その講演会の時に誰かが「奥さんいるんですか?」と質問したの。
「いや、奥さんはいません。でも、家族がイギリスにいますよ。母親と姉と弟がいますよ。」と彼は言ったの。
その時に、なんでかわからないけど、「あぁ それは寂しいな。
こんなに地球のためにいいことをしている人なんだから、彼自身も幸せにならないといけない。」と、 
わけもなくわたしはすごく思ったの。
彼が愛する人と一緒になって幸せに暮らすっていうことは、逆に地球にとっても絶対に必要だわ、なんてね。
こんないいことしている人が、パートナーがいないっていう事が、完璧な絵になっていないような気がしたのかな。
彼は今まで一人でがんばってきたのに… っていう想いがふっと沸きあがってきたのね。
まったくそんな事は忘れて、本を書き始めるんだけどね。

ポールの日記を全部、インターネットからダウンロードして、印刷して読みながら、
翻訳して編集して進めていった。
そうすると、彼が生まれた時から、彼の人生と、彼のどうしてそういう旅をすることになったかとか、アイスランドで見たビジョンのこと、バックパックを持って歩き始めた時の怖さとか不安さとか… そういうのを彼と一緒に、ずっと共有していくわけじゃない?

書いていたときが多分二月、三月くらいで春だったんだけど、ポールが真冬のブルガリアで雪山を歩いていて、道に迷うの。
雪の中にズボッとはまってしまい、歩き続けられなくて凍死して死んでしまうんじゃないかという時に突然、雲の上を歩くのをイメージして、自分が浮いてるようにイメージしたら沈まないんじゃないかと思った。
やってみると、ほんとに沈まずに歩けるの。
「あっ出来てる!」と思うと、また沈んじゃう。

そういう、人間の持っている目に見えないエネルギーとか、目に見えない世界だけど、実はそういう事が出来るっていうお話。
誰にでも出来るんだけど、そういう能力をわたし達は忘れちゃったのか、ただ使っていないのかね。
そういう世界の話もいっぱい書いてあったの。

真冬のポールと一緒に旅していると、自分がどの季節にいて、自分はどこにいたかも忘れちゃうくらい
没頭していたのよ。
「あれ、わたし今どこに居るんだろう。あーそうだそうだ、東京だ。」っていう感じでね。

ずっと日記を読みながら、彼と旅をしている間に、彼の事をものすごく深く知ったような気になっていくのね。
”この人すごい、チャーミングな人だわ”っていう印象で、すごいピュアだなって思った。
あとは、お金とかクレジットカードを誰かに持って行かれても、その人許しちゃったりする。
許してすぐに、次ぎに自分をヘルプしてくれる人と、また一緒に歩いたりするの。
”そんなにすぐに、また人信用しちゃっていいの?”と思ったりね。

そういうお茶目で子供っぽい、無邪気な所や、かわいらしい所があると思うと、すごく深い洞察力があったりね。
そういう事も書いてある。
ポールを一言でいえば、子供のような純粋さと、賢い、賢人のような知恵を持った人、
とわたしは本に書くんだけどね。

書きながらもどんどん彼を、人間として好きになっていくのよ。
”この人いい、この人すごい!”って思ってね。
尊敬して、人間として素晴らしい人だと思い始めると、生身の人間に会いたくなるじゃない?

こういう旅… 彼がしているミラクルの起こる旅をやってみたい、って思ったのと、ポールが持っている
すごいポジティブなキラキラしてるエネルギーみたいなものを、ちょっと肌で感じてみたいって思ったの。

Saturday, December 1, 2012

ポールと生きること



VW:ポールの秘書のように、うまくサポートしている風に見えるよね。

木乃実:うん。 それが好きなんだよね。
要するに、自分が楽しくて、自分が好きで、自分がやってる事だから、なんにも苦にならないわけよ。

昔はすごく、わたしがわたしが、って出しゃばっていく人で、前の旦那さんは、だからちょっと女の子みたいな
優しげな旦那さんで、わたしが一家の長のような感じだった。
きかん坊な女の子だったから、そんな結婚を一回経験してみたけれど、ある時に、
やっぱり女に生まれたという事は、女性性っていう、女の人の優しさとか気を遣ったり、フォローしたりっていう、女性が持っているそういう所を、もっと使いたいなぁと思った。

ポールに会ったときか、会う直前だったか、精神的にいろいろ変わっていく時期に、
わたしはどんな風に奉仕できるかっていう事を、考え始めたんだよね。
わたしの人生をどうしたいとか、わたしはこうしたい、ということじゃなくて。
上を見あげて、わたしの持っている能力をどんな風に、もっと大きな世界で使えますか? 役に立てられますか?
って思ったの。
地球でもいいし、宇宙でもいいんだけど、わたしが持っている才能が何かあるとしたら、ギフトがあるとしたら、
それをどうやって使ったらいいかな… わたしのギフトは何かなって、考え始めた瞬間があったんだよね。

その時に、何かすごく大きな事をやっている人をたてて、その人にエネルギーをあげて、
その人がもっともっと大きな事をできるような… そういうイメージはあったかもしれない。

だからポールを見つけた時、見つけた時っていうか…笑 ポールはすごい大きな事をしていて、
地球のためもそうだけど、宇宙的にもね、すごい事をしている人。
だけど多分、最初にポールに会った時に、講演会に来た時に、ポールちょっと痩せていたし、
疲れている風に見えた。
そのあとに会った時に、自然にマッサージしてあげていた。つき合う前にね。
わたしが彼にあげられる、サポート出来る事はなんだろうと思ったの。
マッサージしてあげたり、持っているモノをたくさんあげたいって思っていたんだね、きっと。

前の結婚はお互いにね、欲しい欲しいだったのよ。
あなたからコレちょうだい。向こうは向こうでコレちょうだいって言ってるから、もう引っ張り合いみたいなね。
そういう結婚を経験したからこそ、それがものすごく辛かったからこそ多分、
ただもうあげるっていう状態になれたんだと思う。

でも、ただあげているって思っているけど、その何倍も、彼からいろんなものをわたしは貰っている。
それはポールが木を植える時に言っているのと一緒で、「木を植える時には、僕たちは地球に愛をあげて、
お世話してあげて、地球を想ってあげる。そうすると、地球から何万倍も愛が還ってくるんだよ。」ってね。

今まで何かをあげる時は、ちょっと紐付きだった気がするの。
あげるギフトに紐が付いていて、”これあげるから、それちょうだい”そんな、釣りえさみたいな感じ。(笑)
紐付きじゃない、あげっぱなしっていう状態にできたときに、すごく気持ちよかったのね。

ポールがお金のことで、いろいろ悩んで苦しんでいる時にも、「わたし貯金があるから、わたし寄付するよ。」って言った。
彼とつき合う前にね。
そういう風にポンと、”今あるからそれ出すよ”と思えたのは、自分でも驚きだったけど、
彼にそういう風にできたのは、彼自身が、自分がカラカラになっても、自分の命さえもね、
全部、あげられる限りは人にあげるって、地球にあげるって。
そういう生き方をして来たからだと思う。

彼のあるだけのものは全部あげる、命まであげるっていうような、彼の愛がわたしにはわかったから、
多分、そういう人だから、わたしも”わたしも”ってなれたんじゃないかな。
ポールが、”これはあげるけど、これはあげない”という人だったら、わたしも同じだったと思うの。
わたしも”コレはちょっとあげるけど、コレはとっとこう”みたいなね。
それはお互いに同じだと思うのね。
お互い鏡に映しているようなものだからね。

ポールるがそうでなかったら、わたしは今のわたしじゃないと思う。
それはほんとうにそう思う。

VW:ほんとだね。未だにお互いに、出せるものを出し合って生きているっていうのは、変わってないでしょう?

木乃実:変わってない。全然変わってない。