木乃実: 最初に来た時にね、ラフンタの人は他のパタゴニアの町の人に比べると、すごくオープンな感じがしたの。
気がついたら、半年ぐらい土地探しの旅をしていて、いろんな町のいろんな人と知り合いになったけれど、結果的に友達になった人は、ラフンタの人だったの。
家に呼んでくれて、ご飯食べさせてくれたりね。
あるとき、お友達がホームステイしていたお家のおばさんが、友達の家に行くって言うので一緒に付いていった。
友達はエリカさんっていうおばあちゃんなんだけど、エリカさんの家に行ったの。
お茶飲んで、じゃあまたねって。
次にラフンタ来た時に「そういえばエリカさん、どうしているかな。エリカおばあちゃんのところに
行ってみようか。」って行ったら、「あれ~久しぶり。来てくれたの?」「今、お昼ご飯食べていたの。食べていく?」
「ありがとう。」ってお昼をごちそうになった。
そしたら、白いご飯に、お皿の上に白いご飯があって、目玉焼きが一個ポンっとのっていた。
レタスのサラダがちょっとあったのね。
すごいシンプルなご飯なのよ。みんなが食べてるのと同じものでね。
だけどその目玉焼きの卵がすごい美味しかったの。
庭に鶏がいて、レタスをちょっと作っていて。
この辺はみんな、お家は掘建て小屋よりもちょっといいようなお家でしょう。
最初に来たとき「あっ物置かな?」と思ったらお家だったりね。
それにちょっとトタン屋根とブリキの板を貼ってね。雨が多いからね。
断熱材も全然ないしね。
入って行くと、だいたいお家の中心に大きなストーブがある。
オーブンがあって、そこでパンが焼けて、上でいつもお湯を湧かしていて、お鍋がいくつか乗っているような。
その周りでみんな常に火に当たっている。
いつもベンチはね、ストーブの周りに必ずあるの。
そこに座るの。お客さん必ずストーブの一番温かい所に座るの。
そしてマテ茶を飲むの。
あっちょうどあった。(とマテ茶とカップとストローを持つ)
これね、こういうの。
VW:そのストローみたいので、チューチューッって。
木乃実:そう。この葉っぱをいれて、熱湯を注いで、これでチューチューって吸うんだけど。
このマテを、回し飲みするんだよね。
チューっと吸ったら、ホストに返すわけ、入れる人に返すの。
そうすると、その人がまたお湯を入れてくれて、どうぞって次の人に回すの。
全員ぐるっと一周するのね、一回ずつお湯を入れてくれる人にマテが返るわけよ。
ぐるぐる回っていって、その間も飲みながらしゃべってーってして、
最後もういらなくなったら「グラシャス」(ありがとう)って返すのよ。
VW:へーおもしろーい。
木乃実:最初は飲む時にね、「あーありがとう」ってつい言うじゃない?
もらった時に「グラシャス」って言ったら、友達のルシオが「最初にグラシャスって言っちゃだめ。」って言うの。
最後にもういらなくなったら、どうもありがとう、 もういいよ、 って返すんだよって。
そういうやり方も教えてもらってね。
みんな現金収入もそんなに無いからね。
月に2万円もキャッシュが入ってきたらいいほう、っていう感じで、みんなどうやって暮らしているのかなって、
ほんと真剣に思うけどね。
だけどエリカおばあちゃんは、家にあるものだけどって、そういうのごちそうしてくれたわけじゃない。
それがすごく嬉しくて。
わたし達が土地を買って「なにしているの?」って聞かれて「家作っているんだ」って言うと、
「家が出来たらさ、じゃあマテ飲みに行くね。」ってみんな言うのよ。
家が出来てくると、「マテある?」って言うの。
「マテ飲みに行くから、マテある?」って言われて。
わたし達はマテ茶ちょっと強いから、飲み過ぎると胃が痛くなるからね、置いてなかったのよ。
だけどこれは人が来た時に、マテ茶が無いとダメだねやっぱり、ってマテ茶を買った。
こういうのも(カップとストロー)も買ったの。
アリシアさんっていう、一番古い友達がね、彼女65歳くらいなのかな…
村役場のお掃除しているおばちゃんなんだけど、そのおばちゃんが遊びにきた時に、
「マテあるよ。」って言ったらすごく嬉しそうに「あっ パタゴニア人になったね。」って、
マテをここで回し飲みしていたの。
そうだね、嬉しい。
みんなわたし達の事、あまり外国人だからって差別しない。
もちろん外国人だったり、ポールみたいに白人だったりすると、
”お金持ちだからちょっとお金をだまして取っちゃおう”
”外人だからちょっと高くチャージしちゃおう” そんな人も中にはいるんだけどね。
そんなだまし取ろうという人達も、最初はわかんないからね、そういう人たちにも出会ったりして、
ちょっとお勉強して、段々この人は信頼出来る人、この友達に紹介してもらったこの人は大丈夫、とかね。
友達のところに行って、材木誰から買っているか聞いて、材木この人がいいよ、信頼出来るよって言われると、
その人から買うようにしている。
薪は誰から買ってるのという、段々伝手を辿ってね。
そうすると同じようなサークルの人が、同じようなサークルの中でつき合っているのがわかってくる。
配達もちゃんと出来る、信頼の出来る人たちの間だけでやろうね、っていう風にわかってきたりね。
最初からみんないい人で、みんなウェルカム(歓迎)してくれてっていうわけでもなくてね。
2000人村の人がいると、外人でちょっとお金持っているから利用しようって思う人も、中にはいるのよ、
現実には。
だけどそういう人には、”あれ?”って感じるものがあるじゃない?
”この人はちょっと…”みたいな。
そういう人とはもうつき合わないとかね。
そういうのもあるよね、現実的にはね。
だんだん村の人との信頼関係が出来てくると、やっぱり楽になっていくしね。
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