Thursday, December 13, 2012

想いを実現化する 2



木乃実:普通の土で作った壁があって、その外側には漆喰を塗ってみようと思って、やってみたんだけど、
雨が多いのでカビちゃって、すごくがっかりした…
思ってたイメージのものが出来ないということに、がっかりしたの。

どうして、こんなにうまくいかないんだろうと思った。
そうしたら、ポールが、「あるもので考えようよ。無いものは無いんだからさ。」って言ったの。

それで周りを見渡して、「ああ 草があるじゃないか。」とポールが言ってね。
アイスランドで昔から、草を切ってブロックにして、それを積んで作る家があるんだって。
アイスランドには、昔は森があったんだけど、切りすぎてしまい、木が無くなってしまった。
それで周りを見渡したら、草のブロックがあるじゃないとなった。
草のブロックで家を作って、あとは流木だけで、屋根の梁を作った。
もう、千年前にそういうことをやっているんだよね。
アイスランドの王様が住んでた千年前の家というのをネットで見たら、すごくビューティフルなの。
ポールはアーティストだから、ビューティフルなモノが好きで、「これはいいよ!」と言ったのね。
そうして出来上がったのが、これ(彼らの家)なのよ。

VW:これね。 全部この周りの草を積んで。

木乃実:そうそう。

VW:すごいね。どんどん(草が)伸びてるしね。 

(笑)

VW:そう(笑) 壁がどんどん伸びているのよね。

木乃実:壁を作って、ちょっと野菜を作り始めたら、野良犬とかウサギとかが入ってくるから、
何かでフェンス作らなくちゃね、ってことになった。
ここの人はみんな、木と針金でフェンスを作るんだけど、お金もかかるし、フェンスを作るのにフェンス屋さんに
頼んで作ってもらわないといけない。
どうもこのフェンスはビューティフルじゃないね、そう思っていた。
そしたら彼が、この草のブロックで壁も作ればいいじゃないかって思いついて、
あそこの壁を最初に作り始めたのね。
これ、ポールがひとりでやったのよ。

VW:あぁこの壁だね。

木乃実:うん。壁を作るのに草のブロックを取ると、地面が露出するじゃない?
そしたら彼が、「あぁここは、段々畑になるんじゃない?」って言ったの。
それで、段々畑。

一個やると次に副産物のものができて、これは、こうしてこうすればいいんじゃないかという風に展開していく。 
なんにも最初から計画していないの。いつもね、無計画で始まるのよ。
何となく、今これが欲しいねって作ると、そこからどんどん、有機的にね、オーガニックにアイデアが出て来て、
モノが繋がっていくのよね。

三年経ってよく考えてみると、最初にイメージした大きなお家の、作りたいと思っていたものを一旦全部諦めて、
新しいものを作り始めたんだけど、結果的にはその時にポールが欲しいねって言ってた要素が、全部、この小さな家とこのガーデンに入っていることにこの間、気がついたの。

お堀も最初作りたい、そこに橋を架けて、と言っていたことも、すっかり忘れていたのよね。
スイカとメロンを作るビニールハウスが欲しくて、ビニールハウスを作った。
それから畑用に貯水池を作りたくて、ビニールハウスの屋根から流れる雨水を溜めるための池を作ったら、 
その池に屋根の傾斜がうまく合わなくてね。
池と屋根を作ったんだけど、屋根の水が、全然逆の方向に流れてしまうような屋根になっちゃったの。
「あれ?」って。(笑)
屋根がプラスチックの固い屋根だったら、ちゃんと流れたんだけど、ビニールだから雨が降ると沈んでしまう。

「あぁ、失敗したなー」
出来上がる直前にそんなことになって、また二人で落ち込んだ。
「うーん」と考えていると、次の日にポールが「わかった!」と言ったの。

屋根の傾斜の逆方向に水が流れたけれど、その下に堀を作ればいいんだって。
それで、掘り始めたの。
掘り始めたら楽しくなったようで、すごく大きな、1メートル幅くらいの堀を作り始めた。
堀を作ったら、どんどん堀が伸びていって、玄関から下りていく坂道があるんだけど、その坂道まで堀が広がった。
「あー、もう坂道掘って、トンネル掘って、橋を作ろう。こんな風に上げられる橋。」とポールが言ったので、「あぁポール、それって五年ぐらい前に、作りたいって言っていたよ。」って言ったら、「そのとおりだね」って。

おもしろいよ。その時に思ったイメージを、彼は手放すのも早いのよね。
ダメだったら、ちょっと置いておくの。
執着しないのよね。
執着しないで置いておいて、その時にやれること、出来ることだけやっていくと、全然違ったカタチで、
思っていた夢がまた目の前に実現して現れてくるの。
それがすごく面白いなぁと思う。

自分が思っている夢、したいことを、こういったらこのゴールに辿り着く、と自分で一生懸命頑張って辿り着こうとするやり方もあるけど、そうすると、逆に、もしかしたら全然違う方向で、全然違うやり方で、
全然違うスペースから夢が自分の所に来る可能性を、閉ざしてしまうような感じがするからね。

実際に目に見えない世界で起こっていることって、自分が頭で考えていることより、
何倍も何千倍も大きな世界でモノが動いているからね。

こういうものが欲しいと思ったら、あったらいいなと手放して・・・しゃかりきにそこに向かっていくよりは、
「今、出来ることだけをやっておこう」とその時、出来ることをしてると、
ある日、ポコンと夢が叶っているってことがすごく多い気がするのね。

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