Thursday, December 6, 2012

お金のこと 今の暮らしのこと 2



木乃実:ポールは、全然逆だからね。「早く使っちゃおうよ!」みたいなね。(笑)
「世界の金融恐慌とか、銀行がクラッシュするとか。銀行にお金あってもどうなるかわかんないんだから、
早く使っちゃおうよ。使い切れないかもしれないじゃない。」なんて言うのよ。「えぇー」って。(笑)
「僕は、上手に使ってあげるから大丈夫だよ。」ってね。

確かに彼は、お金持ちの奥さんの運転手をしていた時に、彼女の予算の中で、世界中のいろんな素敵な場所に彼女を連れて行き、一流ホテルに泊まって一流レストランでご飯を食べて、すごくゴージャスな旅を提供してあげるようなことをしていたのね。

彼女は、すごいお金持ちなんだけど、それをだまして、横取りしようとする人たちから、
彼は、彼女を守ってあげていた。
ポールは、そういう、すごい巨大な富の中にもいたことあるのね。

その仕事を辞めて、自分は一文無しになって歩き始めて、結局、人からの好意で自分はずっと生きてきたという生活をしているんだけど、すごいお金のある世界とまったくお金のない世界をどっちも知っていて、
まったくゼロでも生きていけるっていう事も知っている。
だけど、何億円かあったら、その使い方も知っているのね。

だから、そういう意味で、彼の中にものすごい強さがあるよね。

わたしはお給料20万から30万の間で、貯金3万円。そのレベルしか知らないからね。(笑)
子供の頃に家の父親に「家は貧乏なんだからね、いろんなものは簡単には買えないんだからね。」って言われてね。
あとから、よくよく聞いてみたら、お給料が上がってるのに、お母さんにも言わないで、お父さんがお小遣いを懐に入れてたとかいう事があったりね。
「えー、お父さん、ステレオ自分で買ってるじゃないの!」そんな家庭で育ったから、チミチミしてるわけよ。(笑)

お金の使い方も、無駄にしないように、どちらかというとケチケチ使うような使い方を、
ずっとしていたと思うのね。
ポールみたいに、もう、使う時にはパーッと使って、「どっからか入ってくるよー!」っていうのは、
わたしには怖くてしょうがない。
「使っちゃって無くなっちゃって、入ってこなかったらどうするの?」
「まったく入ってこなかったら、バックパック背負って歩けばいいんだよ。」
「えぇー」(笑)
そんな感じ。

そういうお金の恐怖、お金への執着。ものすごい執着と欠乏の意識。
何かが無いという事の怖さ、何かが足りない、何かが無いという欠乏の意識とその恐怖というものが、
ほんとうに薄皮を一枚一枚剥がすように、長い年月をかけて無くなっていったんだと思う。
まったく、無くなった訳じゃないよ。
だけど、今はものすごく心のこの辺で、必要な物は必ずあるから大丈夫、って思えるようになったの。
それは、すごい進歩。
落ち着いたからね。「こんなに使っちゃって~」って思わなくなったもんね。

ここ銀行がないからね、銀行でお金を引き出す為に300キロくらい、バスで6時間行くんだけど、
そうすると宿泊をしたり、ご飯も食べたり、お金を使うじゃない?
ショッピングもするんだけど、その時に、前は、お金を節約してね、ちょっと安い宿に泊まったりして
いたんだけど、そうするとエネルギーが下がっちゃうのね。
ちょっと安いからこれでいいかと思うと、すごくうるさかったり、寒かったり。

ポールは自分をちゃんとトリートしてあげる(自分にご褒美をあげる)ってことが上手な人なのよ。
自分にケチケチして、ちゃんと自分を可愛がってあげていないっていうのが嫌なのね。
わたしは、そういう意識が全然ないのよ。
自分にいっぱいお金を使って可愛がってあげるっていう意識が無かったからね。

安い所に泊まって、お金をケチケチして、「節約ね、節約ね」って言ってると、
全然思いがけない所でドーンとお金が出て行くの。(笑)
「なーんだ、結局同じだったじゃない!」っていうようなね。
「じゃあ、あの時に食べたいねって思ったもの食べて、泊まりたいねって言ってたホテルに泊まったほうが、
よっぽど良かったんだね。」っていうことになる。

だから、町に出かけたらね、一番いいホテルに泊まって、美味しいもの食べて、ということをするようになった。
そうすると、一番いいホテルをネットで探すと、その時にキャンペーンでディスカウントだったりするの。
普段200ドルのホテルが、その時80ドルだったり。
ケチケチしなくなったら、そういう事が起こり始めたのよ。

「これだー!」ってね。
「使うときはパァーンと使って、わーっと楽しんで。心配しない。」って。
「ちゃんと必要な物は来るから。」っていう生き方。
こういうのがあるといいなっていうと、誰かが持って来てくれるとかね。
「これだぁ!」って味を占めてから、すごく楽しくてしょうがないの。

テレビの撮影に来たディレクターの人もすごく聞いていた。
「どうやって暮らしてるんですか? 失礼かもしれないけど、収入源を聞いてもいいですか?」
「貯金です。」
「えー、貯金だけですか?」
「そうです。」
「貯金、減りますよね?」
「貯金、減りますよねぇ」って言って。(笑)
「でも、減りそうになったら減りそうになった所で、なんか他に入ってくるんじゃないですかねぇ。」
「そうですかねぇ」って。(笑)

だけど、どっちがいいかってことよね。
減りそうになったら、なんとかどこからか入って来て、大丈夫なんじゃないですか、
そう思って生きていくか、貯金が無くなったら困る、と思ってしゃかりきに働いて生きていくか。
どっちかを選ぶとしたら、わたしは「無くなったら、無くなる直前あたりでなんか入ってくるんじゃないの?」って信じて生きてる方がいいなって、最近思うようになったね。

あと、うちの母親が、私と同じ巳年なのね。
母はいつも小さい頃から「巳年の人は絶対お金に苦労しないのよ。いつもお金が入ってくるのよ。」って、
わたしにね、呪文のように言い続けてくれたのよ。
それは、結構役に立つ。(笑)
ちょっと不安になると、「でも、お母さんが言っていた。巳年は絶対お金に苦労しないって言っていたから、
絶対そうだ。」って思うの。
振り返ってみると、ホント、これもおかしな事なんだけど、「無くなったらどうしよう」っていつも怖いのに、
無くなった事無いのよ。やっぱり。
だから、きっとそうなんだろうなってね。

ポールもね「木の実、巳年だったよね。巳年はお金に困らないんだよね。」って。「そうだよ。」って言うと
「ああ よかった。」ってね。(笑)

No comments:

Post a Comment