Monday, December 3, 2012

アースバッグハウスとポールの発想



木乃実:ここは最初は… どのくらいの高さだったのかな、ここと同じくらいの高さだったのかな。
(もともとの土地を斜めに削ったため、高さが違う)

VW:それを斜めに削ったの?

木乃実:最初はね、ここと同じ位の高さの所に、3メートルと6メートルのドームを作るっていう、
それが最初の予定だったの。
3メートルの穴を、二人でガーッと掘っていって、掘った土をどんどんバックに詰めていったの。
それで、300個くらい詰めて、その袋詰めしたものを、お家の壁に使ったのね。
それで半分まで。
あと半分、600か700、壁にこの袋を使ってある。
その外回りに発砲スチロール、5センチの発泡スチロールを入れて、その外側にもう一回、
ぐるっとアースバッグの壁700個を入れてあるの。
壁が二重になっている。

VW:すごい暖かいよね、このお家。

木乃実:そう。
最初にやっぱり、雨が多くて寒い所だから、暖かくて気持ちのいいお家っていうのを、ポールはよく考えていたの。
どうしたらできるかな、って。
アースバッグのお家のいい所は、やっぱり息をしてくれるから、何となく安心して気持がいいっていう
感じがするの。
土の中に入っていると、ちょっと安心するようなね。
あと音が静かよね、防音性があるから。

実は下(家の下の土地)も、ほんとうはずっと平らだったんだけども、お家の壁がこう、真っすぐあるでしょう?
そうしたらその下の土地を坂に… 全部雨水が家から流れて家と反対の方向に向かっていくように、坂を作ったの。
ほら、雨が流れてる。

VW:流れてるね。

木乃実:これは屋根に降った雨が、そのままこの中を通って流れて、池まで行っているわけ。

VW:池に入って行ってるんだね。

木乃実:うん。
その下を坂に掘った時に、家の壁から3メートル、全部周囲3メートルに発泡スチロールを入れていて、
その上にこのビニールが敷いてある。
発泡スチロールは断熱材、ビニールは防水、その上に土を入れて、それでまたでっかいアースバッグを積んで、
土手みたいにした。
土が全部流れ落ちたり、崩れてこないように、全部せき止めてあるの。
洪水の時にサンドバッグを積むでしょう? ああいう感じで。

VW:そういうのは全部、二人で勉強しながらやったの?

木乃実:うーん ポール。(笑)

VW:本読んだりして。

木乃実:うん。ポールが本を読んで、このヒントはここで使おうっていうのもあるけど、ほとんどは彼の中での、
エンジニアリングの技術だと思う。
彼が「こうしたらこう水が流れてくるから… 土が崩れて来ちゃうかもしれないから土手作って止めよう。」と
いうのは、彼によればそれは常識なんだって。
「常識だよ、そんなもん。」って言うんだけど、わたしには全然想像の出来ない世界なのよね。

だけど彼は、そういうことを、どうも寝る前とか朝起きた時とか、寝ないで考えていたりするみたい。
わたしがぐっすり寝ている間に「君はいいよねー、いつも安らかに幸せそうに寝てさ。
僕は頭の中で、そのメカニズムをいつも考えているんだよ。」と言うの。
「まぁまぁまぁ、マッサージするからさぁ。」っていう感じで。
「お願いしますね。」みたいな。(笑)
そういうサイエンスとか技術、メカニック、エンジニアリングみたいな技術、土木技術は全部彼なのよ、わたしはさっぱりわかんないからね。

VW:でも別にポールだって、それの専門家ではないわけよね。

木乃実:うん、それは違うよね。

VW:だから、すごいね。それをずっと考えて、こういうものを作っちゃうっていうのがね。

木乃実:そうね、それは確かに。
わたしは、ある意味彼は、レオナルドダヴィンチみたいなね、ただ歩いて木を植えている人だけではなく、
いろんな事が出来る、いろんな能力を持っている人だって、この家作りで始めてわかった。
ビックリした。

最初はポールもね、自分でビックリしてると思うのよ。
大工さんなんてした事無いし、家ももちろん作った事無いから、最初は自分にはそういう事は出来ないと思っていたみたいだけど、ここにくると彼しかいないから、やるしかない。
やるしかないっていう所で、彼はすごいいろんな発想が出てきて、自分でもすごくビックリしていたと思う。
で、やってみるとすごくうまくいったのが、段々、今年ぐらいから効果がわかってきてね。
やっぱり自分が考えていた事が正しかったねって、証明されてきてね。

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