Sunday, December 2, 2012

ポールの本を書く



木乃実:最初にポールの講演会に行った時にね。
「僕は15年間、地球を歩きながら木を植えています。今日は、なぜそんなことをしているのか、お話しします。」そう言って、鉢巻きをしたおじさんが出てきたのね。
えーっ、「木を植える男」っていう童話の絵本は読んだことがあるけど、ほんとうに歩いて木を植えている人がいるんだ、ってすごくびっくりした。
でもお話にすごく引き込まれていってね。

一銭もお金持たないで15年も。
人に助けられてご飯食べさせてもらったり、もちろん食べれない時はお腹空かせて三日も四日も歩くんだけどね。
だけど目がキラキラしていて、すごく楽しそうに話すのよね。
全然”苦しい”とか“辛い”とか”これは地球のためだから、自分を犠牲にして”というのが無いのよね。
冗談ばっかり言って。
この人ほんとうに、喜びの人生を生きているんだなって思った。

ポールってすごい、こんな人がいるんだ、と思ってブログに書いたの。
そうしたら編集者の人がそれを読んでいてね、”本にしましょうよ”と言ってくれて、ポールの本を書き始めた。
本を書いている時は、ポールには講演会の時にちょっと会ったっていう印象しかなかったのね。
その講演会の時に誰かが「奥さんいるんですか?」と質問したの。
「いや、奥さんはいません。でも、家族がイギリスにいますよ。母親と姉と弟がいますよ。」と彼は言ったの。
その時に、なんでかわからないけど、「あぁ それは寂しいな。
こんなに地球のためにいいことをしている人なんだから、彼自身も幸せにならないといけない。」と、 
わけもなくわたしはすごく思ったの。
彼が愛する人と一緒になって幸せに暮らすっていうことは、逆に地球にとっても絶対に必要だわ、なんてね。
こんないいことしている人が、パートナーがいないっていう事が、完璧な絵になっていないような気がしたのかな。
彼は今まで一人でがんばってきたのに… っていう想いがふっと沸きあがってきたのね。
まったくそんな事は忘れて、本を書き始めるんだけどね。

ポールの日記を全部、インターネットからダウンロードして、印刷して読みながら、
翻訳して編集して進めていった。
そうすると、彼が生まれた時から、彼の人生と、彼のどうしてそういう旅をすることになったかとか、アイスランドで見たビジョンのこと、バックパックを持って歩き始めた時の怖さとか不安さとか… そういうのを彼と一緒に、ずっと共有していくわけじゃない?

書いていたときが多分二月、三月くらいで春だったんだけど、ポールが真冬のブルガリアで雪山を歩いていて、道に迷うの。
雪の中にズボッとはまってしまい、歩き続けられなくて凍死して死んでしまうんじゃないかという時に突然、雲の上を歩くのをイメージして、自分が浮いてるようにイメージしたら沈まないんじゃないかと思った。
やってみると、ほんとに沈まずに歩けるの。
「あっ出来てる!」と思うと、また沈んじゃう。

そういう、人間の持っている目に見えないエネルギーとか、目に見えない世界だけど、実はそういう事が出来るっていうお話。
誰にでも出来るんだけど、そういう能力をわたし達は忘れちゃったのか、ただ使っていないのかね。
そういう世界の話もいっぱい書いてあったの。

真冬のポールと一緒に旅していると、自分がどの季節にいて、自分はどこにいたかも忘れちゃうくらい
没頭していたのよ。
「あれ、わたし今どこに居るんだろう。あーそうだそうだ、東京だ。」っていう感じでね。

ずっと日記を読みながら、彼と旅をしている間に、彼の事をものすごく深く知ったような気になっていくのね。
”この人すごい、チャーミングな人だわ”っていう印象で、すごいピュアだなって思った。
あとは、お金とかクレジットカードを誰かに持って行かれても、その人許しちゃったりする。
許してすぐに、次ぎに自分をヘルプしてくれる人と、また一緒に歩いたりするの。
”そんなにすぐに、また人信用しちゃっていいの?”と思ったりね。

そういうお茶目で子供っぽい、無邪気な所や、かわいらしい所があると思うと、すごく深い洞察力があったりね。
そういう事も書いてある。
ポールを一言でいえば、子供のような純粋さと、賢い、賢人のような知恵を持った人、
とわたしは本に書くんだけどね。

書きながらもどんどん彼を、人間として好きになっていくのよ。
”この人いい、この人すごい!”って思ってね。
尊敬して、人間として素晴らしい人だと思い始めると、生身の人間に会いたくなるじゃない?

こういう旅… 彼がしているミラクルの起こる旅をやってみたい、って思ったのと、ポールが持っている
すごいポジティブなキラキラしてるエネルギーみたいなものを、ちょっと肌で感じてみたいって思ったの。

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